• 歴史的背景

    京都では1,200年前の平安時代の「朝廷による政治・儀式に必要な用具、権威を示威するための用具、支配階級の生活用具」を生産し始めたのが、伝統産業の技術的ルーツといわれます。それが時代を下るにつれ、平安時代以降の歴史に裏付けられた技術、感性によって地方から移入した原材料で、全国の富裕層を対象にした工芸品を生産する産地として成立し、各種絵巻物に見られるようなわが国固有の雅な文化として花を咲かせました。

  • 京都のイメージ写真:伏見稲荷大社の千本鳥居
  • 伝統的な意匠

    京都では多数の伝統工芸品等が現在も作られ、京都市民だけでなく国民の暮らしを支える役割を果たしています。これほど多種の伝統産業を抱えている都市は世界的にも稀有の都市といえます。これらはお互いに影響しあい、より高品質な優れた製品の生産につながっていて、特に意匠については「吉祥文様」など西陣織や京友禅、京焼・清水焼、漆器などそれぞれの材質を生かしアレンジしながらも今日まで受け継がれています。

  • 着物の意匠美
  • 伝承の危機

    ただ伝統産業は、基本的に受注による生産体制であり、また手業による加工が主であることから、安定的な生産がしづらく、バブル経済の崩壊後の消費不況で需要が低迷し、経済のグローバル化による海外製品の流入などによる価格競争の激化と、若年層のきもの離れなどの問題により、近年では生産量は急激に減少しており、危機的な状況にあります。

  • 織り機
  • 将来へ、世界へ

    着物を着る、伝統工芸品に親しむということが日常の暮らしから少なくなってきているなか、長い歴史と高い文化性を有し、優美かつ繊細で趣のある伝統的な意匠を、ウェアなどの身の回りの製品に取り入れて、より身近に感じられる機会を広めていくことで、将来へ世界へ紡いでいきたいと、私たちは望んでいます。

  • 京都の伝統美でウェアを製造